出版業界のはずみ車

私が以前いた出版業界もどうやらようやく風向きが変わってきたようだ。

当時非常にお世話になった製版会社(雑誌の紙面の編集をする会社)の役員の方と食事をしたのだが、そこで出てきたブックフェアの話は業界にいた人間からすると衝撃的だった。

毎年7月に行われる東京国際ブックフェアでは紙媒体のフェアに併設する形でデジタルパブリッシングフェアも行われているのだが、今年はそのデジタル出版のブースの方が大混雑で立錐の余地がないほどだったという。私が出入りしていたころは紙媒体のブースに人が群がり、デジタルの方は一角で細々とやっているイメージだったが、役員によれば昨年までは状況はそれほど変わってなかったらしい。それが今年の激変である。

もちろんこのトレンドは電子書籍界の黒船、iPadの登場がもたらしたものだといっていい。少なくとも日本ではKindleやSonyのReaderではこの大きな潮流は起こせなかったのだから、iPadの影響力はすさまじいものがある。まさに山が動いたのだ。

アナログからデジタルに移行すれば参入障壁が下がり、業界の収益構造も大きく変わるだろう。今後日本の出版業界にどのような地殻変動が起きるのかウォッチを続けていきたいと思う。

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